書評「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きで動くのか?」森岡毅

いろんなところで絶賛されてるけれど、評判通り。

まず、話として面白い。マーケティング本の中でも、ここまで具体的な数字を出しながら、納得感のある成功談は日本では類を見ないのでは。
戦略本にハマるキッカケになった本。この本、というか作者の森岡さんの本が良すぎて、これ以上の本に出会えていない。

出来過ぎなくらいのV字回復な成功物語。
この本自体がマーケティングの一端を担っていると言うのも興味深い。
“私は元来クリエイティブな人間ではありません”と本人が自覚しているポイントも面白い。

本一冊を売るくらいは問題ない、と言って有言実行しているのには痺れる。

一歩間違えるとただの自慢話になりかねないところだが、著者の仕事にかける情熱などが中和してくれている。
また、基本は成功談だが、時折失敗、苦悩を散りばめているところもバランスが取れている。
私はUSJには行ったのとがないが、生きたくなるし応援したくなる。

著者の本を読んだのは3冊目。
物語性が最も高い。

個人的にマイナスな点は、著者の仕事に対する充実ぶり。エンターテイメントを仕事にして天職だと力強く力説している様には、嫉妬を感じてしまった。
私はそのような天職には出会えていない。

例えば、トヨタや任天堂で製品開発している人は、自社の製品がNO1だという誇りを持って働いているだろう。

一方、「うちの商品は大手に比べたら品質も価格でも負ける。でも自社の商品を売り込まなくてはいけない」
これが多くの中小企業の営業マンの本音な気がする。

良い
– USJという馴染みのあるアトラクションを基にしているので、分かりやすくて面白い
– USJのことを知らなくても私を理解できる
– タイトルのアイディアが生まれるまでの過程が詳細に、
– 成功事例だけでなく、アイデアが生まれるまでの苦しさ、社内説得の難しさ、失敗事例なども少しだが出てくるのも面白い。最終的には挽回しているのだが。普通この手の本では成功事例しかのせないことが多いので。

悪い
– 消費者調査を実際に行うのが大切と言う話が多く出てくるが、本業のマーケターでない限りそこにリソースを割くのは難しい

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